対症療法

対症療法


2018年10月公開
2021年11月更新

対症療法とは、ある病気によって引き起こされるつらい症状を軽減する目的で行われる治療をいいます。子宮筋腫の場合は、筋腫を小さくすることが目的ではなく、痛みや貧血などの症状の軽減を図ることになります。
手術をするほどではない、もしくは手術は回避したいが症状をやわらげたいと考えている方に対症療法は行われます。

月経困難症

子宮筋腫に伴う月経困難症(強い月経痛や下腹部痛など)の痛みの対症療法には、通常、鎮痛薬(非ステロイド性消炎鎮痛薬)が使われます。また、子宮筋腫に子宮内膜症や子宮腺筋症も合併しているために痛みが強い場合にも使用されます。
一般に、非ステロイド性消炎鎮痛薬の副作用に胃腸障害があるため、特に胃腸の弱い人は、坐薬を処方してもらうという選択肢もあります。また、作用の穏やかな漢方薬も補助的に使われることがあります。
鎮痛剤は服用してから効果が現れるまでに数十分かかりますので、痛みが強くなる前に服用した方が効果的です。

また、月経困難症の治療薬として低用量ピルを使用されることがあります。ピルは、女性ホルモンのエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)がバランスよく配合されています。低用量ピルと同じ成分の薬が「月経困難症」に対して保険適用となっています。副作用も含めて、主治医とよく相談して服用するようにしましょう。

過多月経

過多月経に対して、止血薬、子宮内黄体ホルモン放出システム(子宮に装着することで子宮内膜の増殖を抑える小さい器具)などが使われます。また、ホルモン療法(GnRHアナログ製剤)によって、筋腫の縮小とともに、過多月経の症状改善をめざすこともあります。しかし、ホルモン療法(GnRHアナログ製剤)は6ヵ月しか使用できず、使用が終わると数ヵ月で元に戻ります。

鉄欠乏性貧血

過多月経に伴い鉄欠乏性貧血となった場合は、食事から摂る鉄分だけで補うことは困難なため、鉄剤を服用し失った鉄分を補給する必要があります。

筋腫による圧迫

筋腫の発育によって大きくなった子宮や、子宮の外側に向かって成長する漿膜下筋腫によって、膀胱や直腸が圧迫されると、排尿障害や便秘になることがあります。

排尿障害

頻尿、尿失禁、尿閉などを含む排尿障害は、大きくなった子宮筋腫が膀胱を圧迫することで起こることがあります。排尿障害の原因が子宮筋腫による圧迫である場合は、圧迫をなくすためには、筋腫のサイズを小さくする治療、もしくは手術で筋腫をとる必要があります。

ただし、子宮筋腫の患者さんのなかには、排尿障害の原因が筋腫による圧迫と断定できない場合もあります。加齢が一因で発症する過活動膀胱でしたら、薬物治療で症状が改善することがあります。また、セルフケアとして骨盤底筋体操を取り入れてみましょう。

【骨盤底筋体操】

「骨盤底筋体操」は子宮や尿道を支えている骨盤底の筋肉を鍛えるトレーニングです。
まず、肛門と腟を上に引き上げるようなつもりでギュッと締め、3~5秒キープした後、緩めてリラックスします。この動作の繰り返し20回を1セットとし、1日4~5セット行います。
ベッドで横になっているときや、テレビを見ているとき、電車のなかなどでも、場所を選ばずいつでもどこでも行うことが可能です。

便秘

子宮筋腫の患者さんで便秘に悩まされている方も少なくないと思いますが、子宮筋腫が便秘の原因となっていることのほうが少ないとされています。
便秘の解消には、水分を多くとる、運動をする、食物繊維が豊富な食材を食べるなどの対策がありますが、それでも解消されない場合は、便秘薬を使用します。

便秘薬には、大腸を刺激して排便を促す刺激性タイプと、便の水分を増やして便を柔らかくする非刺激性タイプなどがあります。便秘薬の種類は多く、ご自分で市販薬を購入することも可能ですが、医師に相談し、処方してもらうことも検討しましょう。




※このコンテンツは産婦人科の先生にアドバイスをいただき作成しています。