2018年10月公開

子宮筋腫とは

子宮筋腫とは 子宮筋腫とは

子宮にできる良性の腫瘍

子宮筋腫は、子宮の筋肉(平滑筋)にできるコブのような良性の腫瘍です。多くの場合、子宮体部に発生しますが、まれに子宮頸部にできることもあります。女性特有の病気の中でも、子宮筋腫の患者数は多く、35歳以上の女性の20~30パーセント、40歳以上では40~50パーセントにみられます。子宮筋腫は、卵巣から分泌される女性ホルモン(卵巣ホルモン)の1つであるエストロゲンによって、成長が促進されることがわかっています。そのため、卵巣ホルモンの分泌が盛んな成熟期の女性、つまり20~40代の若年層に多く発生します。また、早く月経がはじまり、卵巣ホルモンにさらされる時間が長い人は、子宮筋腫になりやすいと考えられます。11歳以前に月経がはじまった人は、13歳以降の人よりも子宮筋腫のリスクが高いという報告もあります。一方、成熟前の10代の女性や、卵巣機能が低下する50~60代以降は、卵巣ホルモンの分泌が少ないため、子宮筋腫が発生しにくいものです。子宮筋腫がある人でも、閉経後は縮小する傾向があります。
厚生労働省の患者調査(令和2年)では、子宮筋腫の推定受診患者数は18万9000人でした。

その形状は球形のものが一般的で、大きさは肉眼ではわからないほど小さなものから赤ちゃんの頭ほどの巨大なものまで、さまざまです。筋腫の数は1つしかできないこともありますが、数個、数十個と同時に複数個できることも珍しくありません。多くの場合、初めはごく小さく、ゆるやかなスピードで徐々に大きくなっていきます。
子宮筋腫は悪性腫瘍に変化することやほかの部位に転移することはほとんどなく、子宮筋腫であることが証明されたら命をおびやかすことはほとんどないといってよいでしょう。

子宮筋腫の出来る場所や大きさで症状が生じる

子宮筋腫があっても症状がない人もいます。症状がある場合は、筋腫が子宮のどの部分にできたか、その大きさや数によっても現れる症状や強さが異なります。

一般的に子宮筋腫は、時間の経過とともに大きくなることが多いのですが、子宮筋腫の細胞が死滅したり、カルシウムが沈着したりすることによって逆に小さくなったり、石灰化といってカチカチに固まったりすることもあります。これを「変性」といいます。

子宮筋腫は卵巣ホルモン(エストロゲン・プロゲステロン)の影響によって成長します。したがって、閉経後は、卵巣ホルモンの分泌がなくなるため、子宮筋腫の成長もストップし、小さくなっていくことが多いのですが、そのままの大きさを保つこともあります。閉経すると、子宮筋腫が消失すると考えている方もいるようです。縮小はしますが、完全に消失することはありません。

子宮筋腫の分類

子宮の断面をみると、一番外側から漿膜(しょうまく)、子宮筋層、子宮内膜という3層構造になっています。子宮筋腫はこの3層のうちのどこからでも発生します。どの場所(層)に発生するかによって、「漿膜下筋腫」「筋層内筋腫」「粘膜下筋腫」の3つに分けられます。筋腫ができた場所によって、治療法の選択肢が異なる場合があります。

子宮筋腫の分類

筋層内筋腫

子宮筋層にできる筋腫です。子宮筋腫の中でもっとも多いタイプです。小さいうちは症状がありませんが、大きくなると子宮内腔にせり出してくるため、過多月経になることがあります。

粘膜下筋腫

子宮の内側をおおう粘膜=子宮内膜の内側に発生する筋腫です。発生頻度は低いのですが、子宮の内腔に突出するようにコブができるため、小さなものでも月経量が多くなったり、その影響で貧血になるなど、症状が出やすいタイプです。
一部は根本に茎をもつ有茎性粘膜下筋腫となります。これが、子宮内で成長すると、異物を押し出そうとする子宮のはたらきで、子宮口から飛び出してくることがあります。これを筋腫分娩といいます。

漿膜下筋腫

子宮の外側表面をおおう漿膜の内側にできる筋腫です。子宮の外側にコブができる漿膜下筋腫は、子宮内部を圧迫することはないため、月経異常などの症状が現れにくく、発見されにくいタイプですが、筋腫が大きくなると圧迫症状が現れることがあります。子宮本体から離れて、細い茎でつながる有茎性の有茎性漿膜下筋腫もあります。まれに茎がねじれることがあり、その場合、痛みを伴います。

ミニコラム プラスCafé 30~40代の女性像

子宮筋腫を発症することの多い30~40代の女性をみてみると、仕事をもつ人が多く、また子育て世代でもあります。場合によっては、親の介護などを担う人もいるでしょう。
いざ、治療をしたいと思っても、この世代の女性たちに共通するのは、
「まとまった時間がとれない」
「長期間仕事を休むのは無理」
「入院中、子どもの面倒をみてくれるところがない」などといった悩みです。
多忙な世代であるからこそ、長期の入院は避けたい、という傾向があるようです。

最近では、入院期間や療養期間が短く、早く社会復帰ができる治療法が広く行われるようになっています。
まずは、自分にとってベストな治療法をチョイスできるように、自分の希望を整理して、医師に伝えてみましょう。
希望する内容や質問事項をメモにまとめて持参すると、伝え忘れもなく、問診の時間を無駄なく使えますね。
ただし、病状によっては、希望する治療がベストな治療とは限りません。
医師の説明を聞き、納得する治療を選択してください。

ミニコラム プラスCafé パートナーの皆さまへ 妻や恋人が婦人科の病気になったとき

子宮筋腫は良性の腫瘍ですが、子宮という女性固有の臓器にかかわる病気でもあります。
それゆえ、パートナーからの何気ないひと言で、想像以上に傷つく人もいるようです。
たとえば、「もう子どもを産むわけじゃないんだから、子宮を全部取ってもらったら?」などというのは、「もう女性として見られていないの?」とショックを与えたり「そんなデリカシーのない人だったの?」と怒らせたり、二人の関係を揺るがしかねない発言です。
つらい状況から早く解放されればよいのにという患者さんのからだを心配しているからこその言葉なのでしょうが、ときには、正論ではなく、女性の気持ちに寄り添ってほしいときもあるのです。

妊娠や出産という役割や年齢に関係なく、女性にとって、子宮も乳房もかけがえのないものであり、パートナーの人たちにもそれを知っておいてほしいと願っています。
妻や恋人がどのような治療を選択するとしても温かく受け止め、相手の気持ちに寄り添いながら治療がうまくいくようにサポートをお願いします。




※このコンテンツは産婦人科の先生にアドバイスをいただき作成しています。