子宮筋腫の子宮動脈塞栓術(UAE)~治療の実際と対象となる患者さん (後)
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子宮筋腫の子宮動脈塞栓術(UAE)~治療の実際と対象となる患者さん 後編 | インタビュー

UAE治療のメリットは何でしょうか?

体への負担が少なく、子宮を温存できるところです。


MRI


UAEは、開腹手術のように大きな傷をつけないので、術後の回復が早く、通常5日程度で退院することができます。退院後も早めに仕事や家事など日常生活に戻れます。

実際、父親の介護をしているという患者さんは、長く入院できないという理由からUAE治療を選択しました。その人は子宮筋腫の症状がつらくても家を空けることができないと考え、我慢して介護を続けていたそうですが、我慢しきれないほど痛みが強くなったため治療を決断されたのです。

当院で患者さんがUAEを希望する理由としてもっとも多いのは、子宮を温存できるということです。妊娠を希望しない患者さんが対象の治療ではありますが、女性として子宮を失うことに抵抗を感じている方は少なくなく、そのような方はUAEを希望されています。

合併症や副作用などにはどのようなものがありますか?

主なものは痛みや発熱ですが、卵巣機能の低下(無月経など)や感染症などのリスクもあります。

もっとも多くみられるのは、子宮動脈を塞栓することで起こる下腹部痛や発熱です。これらは塞栓による炎症反応で塞栓後症候群と呼ばれ、UAEを受けた患者さんの90パーセント以上が経験します。通常は鎮痛剤や非ステロイド性消炎鎮痛薬などの投与により対処します。
また、塞栓後に腟から少量の出血があることもあります。

造影剤の副作用として、かゆみや軽い吐き気がある人がいます。造影剤により重篤なアレルギー(アナフィラキシーショック)を起こすこともあるため、活動性喘息の患者さんにはUAEを行うことができません。

治療後、数日から数カ月後に筋腫感染が生じることがありますが、感染症が起こるのは3パーセント程度1)です。感染が生じると悪臭のする帯下(おりもの)が出る、熱が出る、腹痛があるなどの症状があります。これらの症状のほかにも何らかの異常を感じた場合には病院にすぐに連絡してもらうことにしています。
出典1) AJR 2012; 199:1153–1163

卵巣の機能低下も、UAE治療後のリスクのひとつです。卵巣機能の低下により、無月経になったり、更年期障害があらわれたりすることもあります。これは年齢にも関係していて、45歳以上の方の20~40パーセントの人に生じる2)といわれています。その理由としては、そもそも加齢に伴って卵巣機能が衰えていること、子宮動脈とつながった卵巣動脈に塞栓物質が入り込んで卵巣機能に影響を与えることが考えられます。このため手技をする際は卵巣動脈の血流を下げないように注意します。
出典2) JVIR 25,1737-1747,2014

また、海外では子宮筋腫だけではなく正常な子宮筋層まで壊死させてしまい敗血症が生じた例や深部静脈血栓症、肺塞栓症といった重篤な副作用の報告が数例あります。

UAE治療のデメリットはなんでしょうか

全国でUAE治療を行う施設の数がまだ十分ではありません。

先述したように、UAEは妊娠を希望される方にはできない等、治療の対象となる方が限られています。

全国的にはUAEを行う施設が徐々に増えてきていますが、まだ十分ではなく地域によってはUAEを行っている施設が近くにない場合もあります。

また、UAE治療をしても一部に効果の得られない方や再治療が必要となる方もいます。私たちは一度治療した筋腫が再度大きくならないように、できるだけ筋腫全部が梗塞となるように、慎重にUAEを行っています。ただ、UAEは子宮全摘術と違い、子宮を残す治療のため、新たな筋腫ができることもあります。新たな筋腫ができて症状がある場合には、再治療を検討します。その場合にはもう一度UAEも治療選択肢になりますし、外科治療などの治療を行うこともできます。

UAEは子宮全摘術や筋腫核出術のように筋腫組織を取り出し組織検査を行うわけではないので、肉腫の可能性を完全には否定できません。治療前にMRI画像を十分に検討し、肉腫の可能性がある患者さんをUAE対象としないように注意をしています。

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2018年10月公開
2020年7月更新