子宮筋腫の治療について専門医からお話をうかがいます。
2020年05⽉公開
子宮筋腫の子宮動脈塞栓術(UAE)
~治療の実際と対象となる患者さん 後編
久留米大学医学部放射線医学講座
准教授 小金丸 雅道 先生

久留米大学医学部放射線医学講座の小金丸雅道先生へのインタビュー後編では、子宮全摘術の代替治療と位置づけられているUAEのメリットや対象となる患者さん、合併症などのリスクについて伺いました。実際に治療を受ける際のポイントなども聞いています。
UAEの対象となるのは、どのような患者さんですか?
子宮筋腫による過多月経や圧迫症状などの症状があることが条件です。

対象となるのは、過多月経や圧迫症状、疼痛などの子宮筋腫による症状がある患者さんです。いくら大きな筋腫があっても、症状がない場合は治療をしなくてもよいのです。ほかに、患者さん自身がUAEを希望していること、合併症のリスクなどにより外科手術ができない場合が対象となります。
逆に、UAEを受けることができない患者さんもいます。まず、子宮頸がんや子宮体がんといった子宮内の悪性腫瘍がある場合はUAEを受けることができません。また、骨盤内に感染症がある場合もだめです。UAEを希望する患者さんには事前の婦人科診察でしっかりと調べてもらい、これらをクリアしなければなりません。
UAE治療の際には血管造影剤を使うので、造影剤にアレルギーのある方、腎機能障害のある方も受けることができません。
閉経後は、ホルモンの関係で子宮筋腫が縮小したり、それ以上は大きくならないことが多いので、基本的にUAEは行いません。
また、GnRHアナログによるホルモン療法を受けた方は、血管が収縮してカテーテル治療が難しくなるため、薬の影響がなくなるのを待って、UAEをすることがあります。
次に、妊婦または妊娠予定、将来子どもを産みたいと希望する患者さんにはお勧めしません。UAEの治療後に妊娠ができるかどうかは明らかではないからです。
当院では、一番多いのは40代の方ですが、30代後半から50代前半の方がUAEを受けられています。