子宮筋腫の子宮動脈塞栓術(UAE)〜婦人科医と放射線科医の役割〜
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UAEのメリットとデメリットについて教えてください。


2022年2月公開
2022年4月更新

UAEのメリットとデメリットについて教えてください。

メリットは体への負担が少なく、筋腫の数や大きさに関係なく子宮を温存できること。デメリットは再発の可能性があることです。

狩谷先生局所麻酔で行えるUAEは、カテーテル治療ですので切開を行わず体への負担は小さいです。そのため、入院期間は短く早期の社会復帰が期待できます。また筋腫の数や大きさにかかわらず行えることもUAEのメリットといえます。デメリットは、症状緩和を目的としているため治療効果は筋腫の縮小にとどまり、子宮も温存されるので再発の可能性があることでしょう。また、十分な縮小効果が得られない場合や、再発により再治療(再度のUAEや薬物療法、手術等)が必要になることもあります。
一方で、体の負担が少ないとはいえ、UAEを実施した当日、翌日には、月経痛に似た下腹部痛や発熱が起こる「塞栓後症候群」が、ほとんどの患者さんにみられます。症状の程度や期間は人によって異なりますが、鎮痛薬で対処できます。

UAEの治療の流れを教えてください。

UAEの入院は4日程度ですが、退院後1週間以内に婦人科と放射線科の外来を受診してもらいます。

狩谷先生UAEを受けるため婦人科から放射線科に紹介されてきた患者さんに対しては、改めて治療法と具体的な治療の流れについて説明します。そして、患者さんの意思を確認後に入院日と手術日を決め、予約してもらいます。
患者さんの時間的な負担も考慮し、UAEを行う当日に入院してもらうこともあります。入院期間はおよそ3~4日間で、退院から1週間以内に婦人科と放射線科の外来を受診となります。一般的なUAEの治療の流れは、下記の通りです。
*UAEの入院期間や治療の流れは病院によって異なります。ご自身が治療を受ける病院にてご確認ください。

UAEの治療の流れ

入院前日
いつも通りに過ごす
UAE治療当日:入院
午前中に入院し、術前処置を行う
UAE治療
血管造影室で行います。足の付け根に局所麻酔しそこから子宮動脈までカテーテルを入れ、塞栓物を注入する。カテーテルを抜いた後は足の付け根を圧迫止血する
術後に鎮痛薬の点滴開始。病室で4時間程度安静にし、食欲があれば夕食も可能
術後1、2日目
治療翌日から食事や行動に制限はなく、シャワーも可能
下腹部痛や発熱があれば内服薬で対応
術後3日目:退院
血液検査で感染症の兆候がなければ退院。鎮痛薬が処方される
退院後1週間以内
婦人科と放射線科を受診
その後
1カ月後、3カ月後、6カ月後、1年後にMRI検査等で筋腫の縮小の程度、体調等を確認する

UAEを受けたあとの注意点を教えてください。

退院後1週間以内の受診までがUAEの治療。その後も、経過観察のための受診が大切です。

狩谷先生UAEは実施後数日で退院できますが、治療が完了するのは、退院後1週間以内の外来受診で異常がないと確認できたときです。そのときまでがUAEの治療だと理解してくださいと、患者さんにはお話ししています。事務仕事ですと1週間、体を動かす仕事ですと2週間くらいは休暇をとったほうがよいでしょう。
UAEは、実施当日や翌日の下腹部痛や発熱のほかにも、感染症、不正出血、退院後しばらくして筋腫分娩※、卵巣機能不全といった合併症が起こる可能性がまれにあります。また、治療効果がきちんと出ているかどうか、再発していないかどうかを閉経まで診ていく必要があるので、定期的な受診がとても大切です。
※筋腫分娩: UAEのあとに筋腫が子宮口から飛び出して膣から排出されること。

UAEにおける婦人科医と放射線科医の役割分担について教えてください。>

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