子宮筋腫の検査
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子宮筋腫の検査


2018年10月公開
2021年11月更新

子宮筋腫の検査の流れ

子宮筋腫の検査には、初診日に行われるいくつかの検査と、日をあらためて追加の検査をすることがあります。初診時には、医師による問診、内診、超音波検査を中心に、必要があれば細胞診、血液検査なども行われます。
これらの検査結果を総合的に判断して、子宮筋腫またはほかの病気があると疑われる場合や、はっきりとした診断がつかない場合などは、さらに詳しく調べるために後日あらためて、MRI検査、子宮鏡検査など追加の検査が行われます。これらの詳細な検査で、筋腫の大きさや数、位置、ほかの病気の有無などを確認します。

初診時に行われる検査(受診当日)

初診時に行われる検査

必要に応じて追加で行われる検査

必要に応じて追加で行われる検査

それぞれの検査について、簡単に説明します。

初診時に行われる検査

初診の際には、通常、受付で渡される問診票に必要事項を記入します。事前に「自分でつくるわたくしnote」などをもとに体調や症状をまとめておくとよいでしょう。

問診

診察室に入ると、医師が問診票を見ながら、さらに詳しく月経の状態や自覚症状、今までの病歴などについて尋ねられます。なるべく具体的に答えるようにしてください。子宮筋腫の可能性がある人は、特に過多月経か、貧血の症状があるか、頻尿、便秘、月経痛、おなかの張りなどについて聞かれます。
問診票では以下のようなことが問われます。

どのようなことが気になり、受診しましたか?
  1. 1.下腹部痛がある
  2. 2.腰痛がある
  3. 3.おりものが多い
  4. 4.陰部に(かゆみ・痛み)がある
  5. 5.不正出血がある
  6. 6.月経痛がある
  7. 7.月経不順(ない・不定期・頻回)
  8. 8.経血量の異常(多い・少ない)
  9. 9.妊娠の可能性がある
  10. 10.避妊の相談をしたい
  11. 11.不妊治療について相談したい
  12. 12.性交痛がある
  13. 13.尿漏れがある
  14. 14.他の医療機関で病気の可能性を指摘された(病名:             )
  15. 15.その他(                              )
月経について
  1. 1.初潮年齢 (   歳)
  2. 2.月経周期 順調(   日周期) 不順(短いとき   日、長いとき   日)
  3. 3.月経期間 (   日間)
  4. 4.経血量 (多い・普通・少ない)
  5. 5.月経時の症状 (頭痛・下腹部痛・腰痛・その他         )
  6. 6.最終月経(   月    日から   日間)
  7. 7.閉経の年齢 (   歳)
性交・妊娠について
  1. 1.性交経験 (ある・なし)
  2. 2.妊娠の経験 (ある・なし)
  3. 3.出産の経験 (ある・なし)
  4. 4.出産時の年齢 (    歳/    歳/    歳)
  5. 5.中絶・流産の経験 (ある   歳・なし)
現在、治療中の病気がありますか?
  • (はい・いいえ)
  • 「はい」の方(病名:                 )
現在、服用している薬はありますか?
  • (はい・いいえ)
  • 「はい」の方(薬剤名:                )
これまで薬などでアレルギー等の副作用がでたことがありますか?
  • (はい・いいえ)
  • 「はい」の方(症状:                 )
これまで大きな病気や手術をしたことがありますか?
  • (はい・いいえ)
  • 「はい」の方(病名:                歳)
  • 「はい」の方(病名:                歳)
ご家族に次の病気にかかった方はいらっしゃいますか?
  • 心臓病(   )
  • 脳卒中(   )
  • がん (   /がんの種類   )
  • 糖尿病(   )
  • 結核 (   )
  • 高血圧(   )
  • ぜんそく・アレルギー(   )
  • その他(   )
お酒は飲みますか?
  • (はい・いいえ)
  • 「はい」の方(週・月に     回)
  • 1回あたりの飲酒量(ビール・ワイン・日本酒・その他  )を(   本・   杯)
タバコは吸いますか?
  • (はい・いいえ・やめた   年前)
  • 「はい」の方(1日に     本)(   歳から吸い始めた)

内診

内診

患者さんの子宮やその周辺の状態を視診や触診などによって診察します。内診台を利用して行う内診は、医師が患者さんの子宮や卵巣の状態を直接確認する大切な検査です。
患者さんは、まず、下着(ショーツ)を着けずに内診台に上がり、足を左右の足置きに置き、診察しやすい体勢になります。診察中は、おなかの上のカーテンが閉められるので、医師や看護師から患者さんの顔は見えません。
初めて内診を受ける患者さんは、緊張で体を硬くさせがちですが、深く息を吸ってゆっくり吐き、なるべく力を抜きましょう。リラックスしているほうが検査もスムーズに進み、痛みや違和感をおぼえにくくなります。

内診

医師は、外陰部に異常がないか目で見て確認(視診)した後、腟鏡(クスコ)という器具を使って、腟の中を観察します(腟鏡診)。腟鏡診は、おもに、おりものの性状や腟部、子宮頸部の状態に異常がないかを確認するためのものです。また、医療用の手袋をした指を腟に入れ、腟の周辺、子宮や卵巣の状態を調べます(触診)。触診の際に、おなかの上にのせた手と、腟内に入れた指で子宮をはさむようにして、子宮筋腫の位置や大きさを調べます(双合診)。
子宮筋腫がある場合、子宮の形がボコボコとしていたり、硬く盛り上がっていたりします。また、子宮筋腫そのものが硬いゴムボールのようなしこりとして触れることもあります。

このように、医師は、患者さんの子宮の大きさ、硬さ、子宮筋腫の有無、子宮筋腫の位置と大きさ、数、卵巣の硬さと大きさ、周辺臓器の癒着の有無などを調べます。大体5~10分程度で終了します。

通常、内診の際、痛みはほとんどありません。腟に挿入する腟鏡という器具は鳥のくちばしのような形で、一般の方にとってはなじみのないものですが、出産経験や性経験の有無などを考慮してサイズが選択されます。ただ、性経験のない場合や子宮やその周囲に炎症がある場合は、触診や腟鏡診、双合診などで痛みを感じることがあります。痛みは我慢せず、医師や看護師に伝えましょう。
内診をしたことがなく性経験もない方は、事前に医師に伝えておくと、腟からではなくおなかの上からの検査や、肛門から指を入れる直腸診に変更してもらえることがあります。

内診の際に、子宮頸がんの検査を行うことができます。検査は子宮の細胞をこすり取って悪性の細胞の有無を調べる細胞疹です。

超音波検査(エコー検査)

超音波検査は、プローブ(超音波発信器)という機器を体にあてて行います。子宮筋腫を診断するときにとても簡便で有用です。
超音波検査は、超音波をあてて、はね返る反射波が画像処理され、モニターに映し出されるしくみで、おもな子宮筋腫の大きさや位置、数などが客観的にわかります。痛みも副作用もなく繰り返し使えるのがメリットです。検査にかかる時間は数分です。

子宮筋腫を調べる超音波検査には、細いスティックタイプのプローブを腟に挿入して子宮や卵巣を観察する経腟法と、あおむけに寝た患者さんのおなかにゼリーを塗り、その上でプローブを動かして超音波をあてる経腹法の2種類があります。性経験のない人の場合は経腹法で行いますが、子宮筋腫の位置によっては、直腸からプローブを入れる経直腸法が行われることもあります。

経腟法は、経腹法より子宮内膜がはっきりと映し出され、子宮内膜と筋腫との関係や、卵巣内の卵胞の大きさなどがわかります。内診に続けて行われることが多く、検査に気づかない患者さんもいるほどです。ほとんどの医療機関で経腟法が行われています。

経腹法は、直径10センチ以上の大きな筋腫があったり、筋腫が多発して子宮が大きくふくらんでいたりする場合は、子宮と筋腫の位置関係や子宮の全体像を把握しやすいといえます。経腹法では、子宮の前に膀胱があるため、膀胱に尿がたまっていないと子宮や筋腫がわかりにくいことがあります。

ただし、超音波検査では、子宮筋腫の形や大きさの正確な測定や、子宮腺筋症、卵巣腫瘍、子宮肉腫など、ほかの病気との鑑別が難しい面があるので、詳細な検査を要する場合は、MRI検査などを行います。

血液検査

子宮筋腫そのものの状態等を調べるためではなく、貧血の有無や程度を調べたり、子宮筋腫以外の病気(卵巣がん、子宮腺筋症など)を見つける手がかりにします。
とくに、過多月経の人では、貧血(鉄欠乏性貧血)を発症しているケースが多く、その場合、治療にも影響するため、必ず採血して貧血の検査をします。貧血の典型的な症状といわれるめまいやふらつきがある人も、検査してもらいましょう。貧血と診断され、治療が必要な場合は、鉄剤などを服用します。

血液検査では、子宮筋腫以外の病気の有無を確認することもできます。本来、CA125という腫瘍マーカーは卵巣がんなどを調べるときの指標となります。ただし、卵巣がんではなくても高値になることがあります。CA125が高い数値を示すときは、子宮腺筋症や子宮内膜症と合併している可能性があります。

必要に応じて追加で行われる検査

初診時の検査で子宮筋腫があることがわかり、正確な筋腫の位置や大きさなど詳細に調べる場合、他の病気との鑑別が必要な場合には、MRI検査や子宮鏡検査など、追加の検査が行われます。

MRI検査

MRI検査

MRI(磁気共鳴画像診断)検査は、強い磁気と電波を利用して縦横斜め、さまざまな体の断面を画像化します。超音波検査より精度が高く、広範囲の詳細な画像が得られます。子宮筋腫の正確な数や大きさ、位置、性状、膀胱や直腸など他の臓器を圧迫していないかといった点を調べたい場合や、子宮筋腫と他の病気(子宮筋腺症、卵巣腫瘍、子宮肉腫など)の判断が難しい場合に行われます。

超音波検査で典型的な子宮筋腫とは異なる像がみられたときや、長期間子宮を温存する治療法を行うときには、MRI検査を行うことが推奨されています。
妊娠・出産を希望している場合、筋腫だけを取り除く手術(子宮筋腫核出術)を行う際にも、MRIで筋腫の位置や数をはっきりさせておくことが必要です。

MRIでは、体内の脂肪を白く強調する「T1強調画像」、水分を白く強調する「T2画像」、血管だけを強調する「MRA画像」など、目的に応じた画像を得られることが特長としてあります。子宮筋腫の診断では、おもにT2強調画像が使われます。その場合、筋腫は黒っぽく映ります。腫瘍が白っぽく見える場合は、変性子宮筋腫であることが多いのですが、周囲との境界が不鮮明なものは、子宮肉腫の可能性があります。

より詳しくMRI検査を行う場合や子宮動脈塞栓術(UAE)を行う場合には、造影剤を使用します。血管の状態や臓器の血流状態が、通常のMRI検査よりも詳細にわかります。通常、腕の静脈から点滴を取っておき、造影剤を使用しながら撮影をします。造影剤を使用する場合は、食事制限がありますので、医師もしくは検査技師からの事前の説明を守ってください。また、ぜんそくがある方やアレルギー体質の方、今までに造影剤を使用して気分が悪くなったり、じんましんが出たりしたことがある方、授乳中の方は、造影剤を使用できないことがありますので、事前に医師に伝えてください。
造影剤は副作用の少ない薬剤ですが、吐き気・嘔吐、皮膚が赤くなる、かゆみがでる、じんましんなどのほか、まれに、血圧低下や呼吸困難などの重い副作用が起こることがあります。

MRI検査の所要時間は20~30分程度です。検査中に、大きな音が断続的に響きますが、痛みはまったくなく、目をつぶっていれば、閉塞感もあまり気にならないようです。ただし、閉所恐怖症の人は、事前に伝えておきましょう。検査中でも、検査の担当者とマイクを通じて話をすることができるので、異常を感じたときはすぐに伝えます。

MRI検査は、強い磁気が発生するため、指輪やネックレス、時計などの金属類、金具のついている下着ははずします。入れ歯の方は入れ歯もはずします。体内に金属を埋め込む手術(人工内耳、人工股関節、心臓人工弁、脳動脈瘤の金属クリップなど)をした人は検査を受けられないことがありますから、事前に申告してください。

子宮鏡検査

子宮の中(内腔)に生理食塩水を入れてふくらませ、子宮鏡(ヒステロファイバースコープ)と呼ばれる直径3~5ミリの細い管のような内視鏡(カメラ)で調べる検査です。内視鏡を腟から子宮に入れて観察するので、子宮内部の状態を確認することができます。
子宮筋腫の中でも、粘膜下筋腫の診断に向いています。また、子宮内ポリープ、子宮奇形、子宮腔内の癒着など、子宮内の異常の発見にも役立ちます。

所要時間は10~15分程度です。必須の検査ではなく、必要に応じて行われます。

ソノヒステログラフィー(通水超音波検査)

子宮内(内腔)に細い管を通して生理食塩水を注入し、経腟超音波で子宮内部を調べる検査です。生理食塩水は黒く映るため、筋腫やポリープが白く浮かび上がります。粘膜下筋腫や、子宮内腔に突き出した子宮内膜ポリープなどを見ることができます。
痛みは少なく、麻酔の必要はありませんが、子宮口から生理食塩水が漏れないようにバルーンをふくらませて栓の代わりにするため、違和感を覚える人もいます。必須の検査ではなく、必要に応じて行われます。

子宮卵管造影検査

子どもが欲しくて努力してもできない女性に対して、卵管の通過性を確認する不妊検査の一つです。通常は、排卵前の時期を選び、卵管狭窄、卵管閉塞、癒着などを調べます。必須の検査ではなく、必要に応じて行われます。

ミニコラム プラスCafé 婦人科検査の準備と適した服装

婦人科検診の前の準備、避けなくてはいけないことはあるのでしょうか

初診時には、受付で渡された問診票に記入します。
病院へ行く前に、最終月経(前の月経)はいつだったか、妊娠、出産歴、月経の周期、閉経の有無などを整理しておきます。基礎体温表をつけている方は、持参するとよいでしょう。

また、月経血の量の多少、月経期間以外の出血(不正出血)の有無、貧血の有無、腹部にしこりを感じるか、下腹部痛の有無、便秘や頻尿などの自覚症状を、メモしておくと、医師の質問に答えやすくなります。
月経量が多い場合は、「1時間に1回、多い日用のナプキンを交換している」とか「レバーのような3センチくらいのかたまりが出る」「月経が10日間続く」など具体的に伝えるとよいでしょう。腹部にしこりを感じる場合なども、「2、3年前より、おなかのしこりが大きくなり、テニスボールくらいになっている感じ」などと、具体的に表現するようにします。

当日の診察では、ドクターが顔色や唇の色、爪の色などを参考にすることがありますから、なるべく薄化粧を心がけてください。口紅などを診察前に落とし、終了後につけなおしてもよいでしょう。
当日の服装は、長めのフレアスカートか、パンツスタイルなら長めのオーバーシャツやチュニックなど、腰まで覆う丈のトップスがおすすめです。腰まですっぽり隠れる長さがあると、内診のときに診察台に上がりやすくなります。出血などに対応するため、予備のナプキンを持参すると安心です。




※このコンテンツは産婦人科の先生にアドバイスをいただき作成しています。