子宮筋腫の子宮動脈塞栓術(UAE)〜婦人科医と放射線科医の役割〜
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手術以外の方法で子宮筋腫を治療することはできますか?


2023年9月公開

手術以外の方法で子宮筋腫を治療することはできますか?

子宮の温存を希望し、手術を望まない患者さんには、子宮動脈塞栓術(UAE)という選択肢があります。

UAEは足の付け根の大腿動脈からカテーテル(細い管)を入れて子宮動脈に塞栓物質を送り込み、筋腫に栄養を与えている血流を止めることで、筋腫を壊死させる治療法です。2014年にこの治療に使用される塞栓物質が保険適用となり、一定の条件を満たす施設で保険診療が可能となりました。

術後、子宮動脈からの栄養を断たれた筋腫は徐々に縮小し、子宮筋腫に由来する過多月経や貧血、圧迫感などの症状が改善するという報告があります。UAE治療は、インターベンショナルラジオロジー(IVR)という血管内治療を専門とする放射線科の医師が担当します(詳しくは子宮筋腫note「手術以外の治療法1(UAE)」を参照)。

UAEの治療時間は 1〜2時間程度で、入院期間も2泊3日~3泊4日と短く、体への負担も生活への支障も少ない治療法ですが、子宮筋腫への血流が途絶えることで1、2日ほど生理痛を強くしたような下腹部痛が起こることがあります。その後1週間程度は軽度の下腹部痛が残る場合がありますが、鎮痛剤によっておおむね痛みをコントロールすることが可能です。

UAEを希望する患者さんに対しては、細胞診、MRI検査などで悪性腫瘍との鑑別を行い、感染症の疑いがないかなどをしっかりと確認したうえで、UAEが適応可能かを産婦人科と放射線科医師が双方で判断します。

ただし、将来的に妊娠を希望する患者さんは、UAE後の妊娠において不妊症や早流産、分娩後出血等のリスクが高まる可能性が否定できないため、原則適応外となっています。「妊娠は望まないけれども子宮は温存したい」「入院期間や療養期間を短くして早く社会復帰したい」といった患者さんには選択肢の一つとして、UAEという治療法があることを知っていただければと思います。

子宮筋腫の低侵襲治療を考えている患者さんへのアドバイスをお願いします。

それぞれの治療法のメリット・デメリットを十分に理解したうえで、自分にあった治療法を選択することが重要です。

治療選択肢チャート

子宮筋腫の治療法はさまざまで、それぞれの治療法にメリット・デメリットがあります。例えば、子宮の温存を目的とした治療は、子宮を残すことによって取りきれなかった筋腫が時間の経過とともに大きくなったり、新たな筋腫ができたりと、再び治療が必要になることがあります。

そのため治療による効果がきちんと出ているか、子宮筋腫が再発していないかどうかを定期的に確認することがとても大切です。

納得して治療を選択するためには、まず、自分が受けられる治療法にはどのようなものがあるのかを知り、その治療法のメリット・デメリットをしっかりと理解することです。そのうえで希望する治療法(子宮筋腫note「治療の選択」参照)がある場合は、その治療法を行っている医療機関を受診し、希望する治療法が自分の症状に適応しているかを医師に相談するとよいでしょう。最近は、ホームページに治療実績等を公開している病院も多いので、参考にしてみてはいかがでしょうか。

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